庫裏は木造1部2階建て、約1,000平方メートル。文政年間(江戸時代)の建物といわれる。法要では180年間安全を保った韋駄天(いだてん)や大黒天に感謝し、工事の無事進行を願った。2008年6月完成予定。近く完成する管理棟へ引っ越し後、解体するが、構造用材は再使用する。
事業は2010年の開山(天英祥貞禅師)500回大遠忌に合わせる。庫裏は開山が同じ信濃四箇(しか)道場の一つで、25世大淳朴道(だいじゅんぼくどう)大和尚の代の建立と伝わる。間口18間、奥行き7間半。修行の場として大きな台所や住職の居間がある。一方、須坂堀家の藩主菩提寺として殿様の上段の間や控えの間がある。大玄関や土蔵、東堂寮、東司(とうす)などが付属する曹洞宗の典型的な様式を残す県内最大級で、歴史的・文化的価値の高い建物といわれる。
柱や梁(はり)など構造用材は、今日では入手不可能な豪壮雄大な赤松を多く使う。設計監理の中村建築研究所(長野市)では応力波測定で古材の強度を分析し「小屋梁は解体時の傷みにもよるが7~8割は使える」という。解体時に実大実験を行い、強度を立証する。
水野住職(34世)は「上段の間や二の間・一の間の書院造りなど歴史的・文化的価値の高い現様式を残しながら、檀信徒会館的な空間やバリアフリーなど機能性も重視した施設になる予定」と話す。施工は大林組。