年齢を重ね、ますます意欲的に毎日を過ごす須高の女性を訪ねた。大正6年7月8日生まれの102歳。北森いしさんだ。「朝起きたらまず、ゆっくり歩いて体操。そうしないと一日が始まらないね。それと土笛(須坂の土で作ったミニオカリナ)の練習も1日も休みません。ずくがいることだけど、とにかく続けることが一番大事」と、にっこり笑顔を見せる。
95歳からグリーンアルム(須坂市仁礼町)のケアハウスで暮らす。100歳になった頃、「ここまで生かしてもらった感謝を何かのかたちで残したい」との思いから、書道のボランティア講師に指導を依頼。篆書(てんしょ)体の「百寿」をお手本に、丸1年かけて100枚を書き上げ、身近な人にプレゼントした。筆を持つのはとにかく毎日。「難しい書体だったから、一回に文字の一部分だけを書いたりしてね」と振り返る。
土笛は、施設訪問する須坂土笛の会の演奏を聞いて音色が気に入り、代表の池田志う子さん(仁礼町)に頼んで、週に一度レッスンを受けることに。「最初、フ~、フ~の息が出せないから、全然音が鳴らないの。でも池田先生にお世話になりながら、やっとこ、ここまで吹けるようになった。おもちゃみたいにして、毎日楽しんでいます」。練習曲は『春の小川』や『故郷(ふるさと)』など。最近新たに『背くらべ』が加わった。
学校で十分に学ぶことができない時代に育ったが、「昔から我慢強くて負けず嫌い。70歳から(道徳を科学的に研究する学問)モラロジーを学んで、心づかいを実行してきたから今の幸せがあると思っています。そして継続する心、これも私の財産ですね」。普段から新聞も読み、“年齢に関係なく脳は使うほどに活性化する”という記事に元気づけられたという。
北森さんは市内村山町生まれ。北森石油(現・㈱キタモリ=須坂市東横町)を創業した好友さんと24歳で結婚。4人の子どもを育てた。いしさん57歳の時、好友さんは他界。さまざまな時代を乗り越えた今、感謝と幸せを感じながら、のんびり過ごす北森さんの笑顔がまぶしい。