十二支の中のネズミが主人公の物語で、今後絵本になる。以前から意欲的に物語を創作している梶田君は、「物語で最優秀賞が取れてすごくうれしい。出版される絵本も楽しみ」と笑顔を見せる。
同社や同文学賞の公式サイトによると、受賞作は、昔話の形を取りながらも、塾や習い事で遊びの時間が取れない現代の子どもたちの気持ちや、ワークシェアリングの考えなどが描かれており、盛り込まれているテーマが、まさに今であることに驚かされる作品―と紹介。選考委員の一人で絵本・童話作家の山本省三さん(日本児童文芸家協会理事長)の選評では、「大人顔負けの内容の深さ」と評価されている。
作品は、2月上旬に1週間ほどかけて執筆し、原稿用紙(400字詰め)6枚にまとめた。自身が創作した物語の受賞は今回が初。「難しく書きすぎないように分かりやすくした。シュールな感じの結末」
初めて物語を書いたのは幼稚園の頃。小学1年から本格的に創作を始め、冒険物語などをつづってきた。文学コンクールにも7、8回応募。原稿用紙20枚を執筆したこともある。絵本の原作になる物語は初挑戦だったが、「すらすら書けた。他のコンクールに応募したときは苦労したこともあったけど、慣れてきたのかな」。
両親に時間を制限されていた時期があったほど、小さい頃から本が大好き。「幼稚園のときにいっぱい本を読んで作家という職業に憧れた。自分で物語を生み出し、それを読んだ人がもしかしたら感動してくれるかもしれない。そういうことを考えるとすごく楽しい」と目を輝かせる。
3月から執筆している新作は、推理と冒険の要素を盛り込んだ物語。「予定はないけど、機会があったら(コンクールに)応募したい」。今後は、過去の作品には少ないという「主人公の視点で物語を書いていきたい」と目標を語る。
同文学賞は、プロ、アマを問わず昨年11月から今年2月まで、物語、絵画両部門で絵本の原作、原画となる作品を募集。絵本・童話作家らが審査し、両部門の最優秀賞をはじめ入賞16点を選んだ。
絵本は梶田君の物語を基に、絵画部門(277点)の最優秀賞者が絵をつけ、10月に3万冊を出版予定。全国の医療機関や公共施設などに配布される。