
―無投票初当選の町長選を振り返って。
小布施町の内側への視点がまだ不十分と感じた。町長選で町内を回り、住民の生活や財政などいろいろ勉強させてもらった。郊外の道路、側溝などのインフラも改善点がたくさんある。少子高齢化、空き家問題もある。今改めて小布施町の内側を見ながら、どうするか真剣に考えている。もう一度確認作業を始めたい。
―町長になって最初に取り組むことは。
まず「住民と対話」をしたい。一人一人それぞれ希望や要望が違う。公約との擦り合わせをしながら一歩ずつ進めたい。コロナ禍だが、感染対策をしながら直接顔を合わせて話をしたい。会うからこそ微妙なニュアンス、感情が分かる。無投票への批判も対話の姿勢で解消していきたい。
―重点政策の〝町全体で六次化産業〟について。
農業と商業を結び付けて、まず加工品の成功例を作りたい。例えば町内の飲食業の皆さんが「こういうレタスがほしい」と発信して農家の皆さんが応える。逆に農家の皆さんが「こういうネギ、白菜ができた」と飲食業の皆さんに伝えて商品にする。小布施町にはリンゴやブドウなど高品質な果実もたくさんある。互いの情報を共有し、互いの強みを出しながら進めたい。
―〝現代の湯治場〟について。
現代の湯治場は心を整え元気にする癒やしの場。小布施町は食のクオリティーが高く、医療施設が充実し温泉もある。近隣市町村には豊かな自然がある。来町者の滞在時間は平均2~3時間と言われるが、2~3日にしたい。農と商、食と病院、スポーツ施設などを組み合わせて提案する態勢を作りたい。月1回は小布施町を訪れるようなコアなファンが集まる町にしたい。
―コロナ禍が続いているが。
コロナは経済、暮らしに大きな影響を与えている。感染対策を考えると今は観光に力を入れるのが難しい。その分、落ち着いて町内の魅力を確認することができる。なぜ小布施町に人が来るのか。観光だけではない。農業や人も含めて再確認したい。個人的には開かれた心が小布施町の最大の武器、魅力だと思う。コロナで閉じこもることなく、心の開放を大切にしたい。
―町役場の活性化について。
民間の社長の仕事は会社の目的や夢を持って進むこと、社員に気持ち良く働いてもらうこと。これは行政にも共通している。役場職員にヒアリングをして理想や思いを聞き、モチベーションを高めて働いてもらいたい。そのために組織再編が必要になるかもしれない。それが、この町に住む人たちへのサービス向上にもつながる。
小布施町の職員はよく働くとの評価を識者からいただいている。イベントなどを増やすというのではなく、同じ仕事でも頼まれたものは笑顔で気持ち良く受けるという基本に戻って始めていきたい。
―市村町政に学ぶことは。
市村良三町長はさまざまな人材を巻き込む力で、町の活性化につなげた。若者会議などで多くの提案や意見がある。私はその成果を整理し、つなげ、深化させて、新たな芽、実を出していきたい。また、市村町長は町の隅々を歩き回り、住民と語り合ってきた。その姿勢を引き継いで、オール小布施のまちづくりを進めたい。
(取材・大硲真一記者)