受賞者は丸山真也技術開発本部開発部水素事業開発グループグループ長と太田浩一産機技術事業部技術アドバイザー。一方、「実施功績賞」に太田社長が輝いた。
表彰は全国を8ブロックに分け、各地域の優れた発明等を完成した人などを表彰するもの。協会は1904年に設立され、1921年から表彰している。
同社の発明は、水素ステーションで燃料電池車に充塡(じゅうてん)する水素ガスを、充塡時に短時間で約マイナス40度まで冷却する技術に関するもの。
冷却水供給源(チラー)から冷凍回路の凝縮器に接続する配管に、水素圧縮機に至る配管を接続し、その接続部位と凝縮器の間に調整弁を配置。圧縮機に冷却水が供給されると、凝縮器には水素ガスの非充塡時でも調整弁の開度に応じて冷却水が供給される。
冷却水供給源と水素ガス冷却装置は、屋外の離れた場所に配置されていて、配管内で冷却水が滞留しないため、夏季の高温化や冬季の凍結を防止することができる。
同社が2012年に納入した試験用装置は空冷式だったが、14年に水冷式に変更。年間通して試験した結果、環境温度50度でも運用が可能と判断。16年に特許出願に至った。
冷却装置の負荷状態に応じて適切な冷却水量を供給するための電動調整弁の制御に関する発明で、「水温変動や負荷変動に応じてどの程度バルブを動かすかをフィールド試験で確かめた。検証には苦労した」(丸山さん) 装置の発明により、地域や季節で異なる周辺温度に影響されることなく、必要時に直ちに水素ガスを充塡できるようになった。
太田さんは開発当時、開発部長兼冷凍サイクルチームのリーダー。取材に「1年や1年半国内各地の現場に通って設置場所のデータを集めて製品ができた。苦労が受賞につながりよかった」。
丸山さんは当時、開発部冷凍サイクルチーム所属。「空冷式を市場投入したが、思うように冷却できなかった経験を生かし、水冷式を進めた。苦しい思いもしたが、受賞によって報われた。事業を続けさせてもらい、会社に感謝している」と取材に語った。
同社は「権威ある賞を頂いて大変光栄」と話している。
昨年は省エネ型燃料噴射式温風暖房機で特別賞の関東経済産業局長賞、実施功績賞を受賞している。