
須坂市の問題発覚を受けて全市町村に依頼。他県産の混在はなかったが、総務省への申請と実態が異なる状態にあったものが、小布施町と高山村を含む6市町村で新たに確認された。
小布施町は返礼品として提供するブドウの21品目について「町内で生産されたブドウのみ」とする地場産品基準の1号類型で申請していた。しかし、隣接する須坂市や高山村で収穫されたシャインマスカット、巨峰、ナガノパープルなどが混在していた可能性があることが判明。町は流通上混在が避けられない場合に区分される4号類型で総務省に再申請している。
町の返礼品は全部で325品目。その中でブドウの返礼品取扱事業者として契約するのは5事業者(生産団体)ある。
2021~24年度の該当返礼品(混在が疑われるもの)は、合計で寄付件数約33,000件、寄付額4億5,000万円余、発送数量は約156t。このうち24年度は約5,200件で6,270万円、発送数量は約7tだった。該当の返礼品については現在、寄付募集を停止している。
現在の行政区域が決まる以前から小布施では、隣接する市町村の農地で営農する「出作」が行われてきた。現在も収穫後は一括して梱包、発送するため、その過程において混在する可能性があったとする。
町企画財政課は「本来であれば4号類型で申請すべきだったが、流通構造の実態に対する認識を誤ったまま、1号類型で申請していた」とした。
生産農家からは「ふるさと納税の返礼品に一号類型や4号類型などの区分があることは知らなかった」などの声が聞かれた。
町は今後、年数回実施する全体会議に加え、各団体を対象に個別の説明会を開いて地場産品基準を含む制度の周知を図る。また定期的な実地調査、認識の把握、確認などを行っていくという。
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高山村では、シャインマスカット1品目で村に隣接する須坂市・小布施町産の混在が生じている可能性があると分かった。村は地場産品基準類型を誤って申請していたため変更手続きを行う。現在、該当の返礼品については寄付募集を停止。今後ふるさと納税を担当する職員の研修や、返礼品取扱事業者に立ち入り調査を行うなど再発防止に努める。
村は須高地域の農産物を扱う共撰所から返礼品として提供するシャインマスカットを総務省に4号類型と申請すべきところを1号類型で申請していた。当該返礼品の寄付受け入れ件数は19年10月~24年9月までで、7,430件。金額は7,713万8,000円、発送数量は9,674kg。
村は17年にふるさと納税を開始。現在、村内の40事業者と契約している。24年度は寄付受け入れ件数が2,234件、金額は4,104万8,000円。22年度をピークに23、24年度は減少している。
村総務課はふるさと納税に関する体制づくができていなかったとし、「担当する職員の研修を行い、制度を熟知するとともに専任職員の配置を検討する」としている。
さらに村は、今まで行っていなかった返礼品提供事業者の立ち入り調査を定期的に行い、総務省への申請に変更がないか確認するという。
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須坂市でも返礼品取扱事業者により県外産などのシャインマスカットが用いられていた産地偽装とは別に、近隣町村の果物の混在が避けられない状況にもかかわらず、1号類型で申請していたケースが複数あった。市は「市における総務省告示の解釈誤り」が原因としている。
市によると、該当したのは、産地偽装のあった返礼品を取り扱っていた日本グルメ市場(和歌山県有田市)を含む4事業者の返礼品。いずれも近隣町村の農産物が大量かつ継続的に集荷されたり、こうした調達先を含んだりしていたため、本来は4号類型で申請すべきだったという。
少なくとも19年から誤った取り扱いになっていたというが、混在量の算出は極めて困難としている。