
長野地域の農業関係者など約40人が参加。青森県弘前市の園地継承円滑化システムから地域に適した継承の在り方を学んだ。今後、長野地域は高山村をモデルに円滑な樹園地の継承実現に向けて検討する。
長野地域は果樹栽培面積が過去10年で622ヘクタール減少し、今後も減少が見込まれる。背景には農家の高齢化や後継者不足による経営縮小や離農があり、果樹産業の維持・発展には園地の円滑な継承が不可欠だ。研修会は継承モデルの理解と実践を促すことを目的に開かれた。
弘前市は2022年11月、後継者がいない農家の園地を新規就農者などに紹介する「園地継承円滑化システム」を作成し、公開。24年度末までに157件の仲介を行った。
継承システムでは、畑の所在地や面積、栽培品種やトイレの有無など、詳細な情報をデータベース化。新規就農希望者や園地の拡大を図りたい事業者を募り、市が仲介している。
登録できる農地はおおむね5年以内に継承を希望し、現在も耕作している樹園地。市ホームページや市農政課・支所の窓口で閲覧できる。売買や賃借が成立し、一定の要件を満たしている場合、園地の所有者に園地登録流動化奨励金(10アールあたり4万円)を交付している。
これまで高齢のため家から離れた樹園地を手放したい所有者と、営農規模を拡大したい新規就農者などがつながった。
所有者が冬季間にシステムに登録したが、春先になっても継承者が見つからず樹体を伐採し、取り下げたケースや継承者が見つからない園地の管理方法など課題もある。
昨年10月からは樹体のない農地などの情報や樹園地を探している人の情報を公開し、さらなる農地の流動化を図っている。
弘前市農林部農政課の今恭次統括主査は、システムが農地継承に効果的とした上で「さまざまな課題もあるが、実際にシステムを作り園地継承につなげて」と話した。
高山村をモデルにした園地継承の検討については、9~12月に農家にアンケート調査を実施し、意向を把握。来年2月から村ホームページで情報を発信し、マッチングを開始するとしている。