
地元への思いや感謝とともに、映画製作のエピソードや見どころを紹介。ベートーヴェンの曲がふんだんに使われている点に触れ「この場所、この人、この感情の時にこの曲がかかるんだ、と注目して見てほしい」と語った。
原作はかげはら史帆さんのノンフィクション新書。ベートーヴェンの死後、秘書のシンドラーが「実際には下品で小汚いおじさん」のベートーヴェンを「聖なる天才音楽家」というイメージに仕立て上げていく。19世紀のウィーンで起きた音楽史上最大のスキャンダルを、日本で実写映画化した。
当初、上映時間の1.5倍あったバカリズムさんの脚本を2時間にまとめる工夫や、ウィーンをどう表現するか、また日本人のキャストが欧州の人をどう演じるかといった試行錯誤があったという。
ウィーンの光景は、LEDの巨大スクリーンによるバーチャルプロダクションで臨場感を演出する。アンティークな調度品や衣装も魅力的だ。
ショパン役には3人組ロックバンド「Mrs・GREEN APPLE」のメンバーで長野市出身の藤沢涼架さんが出演している。ミュージシャンをキャスティングしたいという意向もあり「一緒に仕事をしたことがある“涼ちゃん”の名前が、長野市出身のプロデューサーからあがったので、ぜひ、とお願いした」という裏話も。藤沢さんの緊張をほぐすために、撮影現場で『信濃の国』を一緒に歌ったエピソードに、会場はより一層和んだ。
関監督は「東京で仕事をしていても、長野のことを考えることがある。長野の人に会うと、親戚の人にあったような気持ちになる」と愛郷心をにじませ、「まだ次回作でお会いしましょう」と呼び掛けた。