自身の初監督作品で、オンラインの映画祭「ニューヨーク国際女性映画祭」で入賞。山際さんは取材に「映画製作は地域の資源を利用しないとできない。この地域だからこそできた作品」と語った。
映画は、漠然とした「帰りたい」という感情を抱えながら生きる若者の一夜の出来事を描いた物語。特定の場所ではなく、「寄る辺」(心や身を寄せて頼りにできる物・場所・人)を探していく主人公の姿を、風景と記憶、舞踊と音楽を通して表現した。舞踊家の鈴木彩華さん(高山村)が主演を務める。
山際さんは千葉県市川市出身で、2023年8月に地域おこし協力隊に着任した。活動の軸は「企画」と「表現」。これまでに、国立新美術館と東京国立近代美術館の学芸員を務めた経験を生かした参加型プログラムの企画や、シンガー・ソングライターとして音楽の制作や演奏に取り組んできた。
映画については「10代の頃から好きで、いつかは自分で作ってみたかった」と言う。昨年春に撮影し、製作期間は3~4カ月ほど。脚本、監督、撮影、編集、音楽を全て手がけた。
幼少期の経験から、作品では「寄る辺なさを表現したかった」と山際さん。「作品としては反省の多いものだったが、地域の方や役者の方と協働して作り上げることができ、学ぶことが多かった」と感謝する。「地域の中でのつながりを実感し、今ある姿(風景)を残すことができた」とも振り返った。
1月29日は須坂駅前「bota(ぼーた)」で上映会とトークショーを開催した。山際さんは「何か共有できるものがあったらうれしい。自分の作品を皆さんに見てもらい、作り続ける原動力になった」と話している。
協力隊の任期はあと半年。既に次回作の脚本を書き上げた。夏ごろの完成を目指し、準備を進めていく。
初監督作品の「KAERU」は今後、ニューヨーク国際女性映画祭の公式サイトで公開され、視聴できるという。詳細は山際さんのSNSで発信する。